頑張っても地獄、頑張らなくても地獄、もう来た道は引き返せない

畑で何かあったのだろうか。網戸の張り替えに関しては、つい先週の台風で破れてしまい急務だったようだ。
「でも、これじゃタダ働きの奴隷同然だよ。お前の言うように、一瞬何しに来たのか分からなくなるときも、確かにある」
 M・Tはあからさまに愚痴をこぼし始めた。心なしかM・Nの人使いの荒さ加減に苛立っているようにも見えた。M・Nの歯に衣着せぬ物言いは説明会で私も存分に思い知っていた。
「あなたがそんなんでどうするのよ。一ヶ月とは言わないから、まず一週間は頑張ろうよ」
 私は半ばM・Tのあとに付いてきたようなものだったが、その時ばかりは逆に激励する形となった。もっとも、私のその言葉自体、かつて今以上に未熟だった時のバイト先の先輩がかけてくれた言葉の受け売りに過ぎなかったが、M・Tにとっては気休め程度にでもなってくれれば幸いだった。
「そうだな。リタイアしたらしたで、どっちみち地獄だし、な」
 頷いてみせながらもM・Tの声は乾いていた。